コロンバス・イン・ザ・スカイ~鳩のマークは空を飛ぶ
WRITTEN BYぎんちゃん blog平和の象徴とされる鳩。
旧約聖書の時代から、オリーブとともに平和の象徴と扱われてきた鳩は、学術名ではColombidaeと書くそうです。
こんにちは、そんな中でもキジバトの鳴き声が好きな南麻布店のメカニック川崎です。
今日は自転車、とりわけロードバイクに大きな影響を与えた鳩「コロンバス」の小話をご紹介します。
▲ウーゴ・デローザの愛したチューブ「SLX」はズバリコロンバスを代表する名作
スチールバイクファンなら聞いたことはありそうな、クロモリパイプのトップブランド「コロンバス」は、今からちょうど100年ほど前の1919年に、ミラノの郊外にスチールパイプメーカーとして創業しました。
創業者はアンジェロ・ルイーギ・コロンボさん。
その名前から「コロンバス」という名前になったわけですね。
このコロンバス創業の地ミラノは多くの工業所があり、自動車や航空産業、もちろん自転車産業においても中心地でありました。
コロンバスはそんな産業への供給もあって、ミラノにて創業したわけなんですね。
当時はすでにスチールパイプのトップブランドとして、英国のレイノルズ(なんと1841年創業!)が存在していました。
しかし、英国からはドーバー海峡のみならず、アルプス山脈を隔てており、物流面においてもコストや時間がかかり、レイノルズのスチールパイプは高級高価な存在。
コロンバスはそんなイタリア、とりわけミラノの職人たちのために安価で、供給の安定した、高性能なスチールパイプを生産するという、そういった大義名分ものもと設立されたのです。
そんなコロンバスが、自転車産業として大きく成長するきっかけとなったのは、
イタリアのビッグブランド「ビアンキ」から信頼されたことでした。
▲80年代のBianchiのFORMURA系チュービングは、CROMORとSLのハイブリッドとの説がある
1919年の創業当時、ビアンキは既にロードレース界のフロントランナーであり、コロンバスと同じミラノの街、ニローネ通り7番街(Via Nirone7 ですよ!)に工場拠点を構えており、ビアンキにとってコロンバスの創業は好都合でした。
またビアンキ戦前、自転車のみならず自動車、オートバイ、軍需産業にも関わる一大企業であり、コロンバスのクロモリパイプは、自転車のみならず自動車などにも使われていきました。
コロンバスの精度の良さ、品質の良さは評判で、当時、多くのイタリアの自動車メーカーやレーシングカーにも採用されています。
今年の1月に映画「フォードVSフェラーリ」という映画が公開されましたが
この映画に登場するフェラーリ330P4というレーシングカーは、映画の舞台である60年代当時、コロンバスのクロモリパイプで構成されたシャシーが使われていました。
▲ちなみに自分も映画館へ足を運びました、パナールやマーコスもチラリと出てました
ちなみにこの映画、主人公のマシン「フォード」はアメリカのメーカーですが
シャシー自体はイギリスのローラカーズが製作しており、こちらはレイノルズのスチールパイプが使われていたといわれています。
今でこそ自転車もレーシングカーもカーボンモノコックが当たり前の時代ですが
少し前の時代までクロモリのスチールパイプを溶接した「パイプフレームシャシー」が軽量で高剛性、補修もしやすくて使われていたんですね。
そんなコロンバスですが、彼らが鳩を象徴として取り組んできたのは実は「空の世界」
航空機産業にも深くかかわり、現在はスチールパイプだけでなく自社でのカーボンファイバー素材の生産も手掛けており、そういった最新素材への探求が敏感なのもやはり航空産業との結びつきから。
そういえば、コロンバスのアルミチュービングで「Airplane」というものもありましたね。
▲コルナゴ・ドリームなどで使われてます、アルミのちょっといいチューブです
ということで今回、コロンバスに捧げたい一曲は荒井由実の歌う「ひこうき雲」をご紹介します。
この曲は名前の変わる前ですね、彼女のファーストアルバムに収録されていた曲なのですが……
最近ではどちらかといえばジプリの映画「風立ちぬ」にて主題歌として採用された方が有名ですよね。
そんな「風立ちぬ」映画の舞台となった時代……ちょうど飛行機を中心とした世界観の映画なのですが、この時代の飛行機のフレームにもコロンバスのクロモリチューブが使われていたんですね。
というわけで彼女のやさしい歌声に乗せて、コロンバスのクロモリフレームにあるバックストーリー
思いをはせてみてはいかがでしょうか。